ELC: ELCレイヤーの初版。ピン提供者による配線表現

muxを「ピンを増やす装置」として抽象化し、提供者が提供する論理ピンを
キーの端子が指す形にした。直結もmux経由も同じ形になり、多段muxは
入れ子で表せる。

配線方式(マトリクス / direct / charlieplexing)は列挙せず、端子の
接続先の組み合わせとして表す。row / col は正本に含めない。

射程は配線のみとし、センサの品種・出力特性・キャリブレーションは
持たない。PCB設計の手前までというPHYの線に揃えた。

Journal: journal/2026-09-20-elc-pin-provider.md
Journal: journal/2026-09-20-elc-scope.md

Co-Authored-By: Claude Opus 5 <noreply@anthropic.com>
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# ELCレイヤー
## 概要
ELCレイヤーは、マイコンのピンと各キーの端子がどう対応するかを提供する。
扱うのは配線だけとする。読んだ値をどう解釈するか(アナログ値から押下深さを出す変換、
キーごとのキャリブレーション)は持たない。キャリブレーションは実機ごとの実測値であって
設計データではなく、センサの品種はPCB設計ツール側の選択だからである。
## 構造
### ピンとピン提供者
ELCが扱う「ピン」は物理的なマイコンピンに限らない。**ピン提供者(provider)が提供する論理ピン**とする。
マルチプレクサ・シフトレジスタ・GPIOエキスパンダは、いずれも「少ないピンを多くのピンに増やす装置」である。
これらを提供者として扱うと、キーの側からは直結もmux経由も同じ「ピンに繋がっている」だけになる。
提供者は、自分が消費する上位ピンを宣言する。上位ピンには別の提供者の論理ピンを書けるので、
多段の接続は入れ子として表せる。分割キーボードの各半身は、それぞれ別の提供者として置く。
ピンの参照は `<提供者ID>.<ピン名>` の形とする。`VCC` と `GND` は電源レールを指す予約名で、提供者を持たない。
現時点で具体形を定めるのは、マイコンとアナログマルチプレクサの2種別。
デジタル側でピンを増やす部品も提供者として扱うが、種別ごとの記述は必要になった時点で定める。
### キーの端子
キーは検出方式(detect)を持ち、検出方式ごとに端子の構成が決まる。各端子は接続先の論理ピンを持つ。
- 接点(contact): a, b の2端子。端子は無極性で、a と b に順序の意味はない
- アナログ(analog): out 1端子。加えて電源の vcc, gnd。ホールセンサがこれにあたる
光学スイッチの端子構成は未定 [推測:P-1]。
### 配線トポロジを区分として持たない
マトリクス・direct・charlieplexing を列挙して選ばせることはしない。
これらは端子の接続先の組み合わせとして表れるものであって、設計者が選ぶ区分ではない。
- 両端子がそれぞれ別のマイコンピンを指す → マトリクスまたはcharlieplexing
- 片方の端子が電源レールを指す → direct
- out がマルチプレクサの論理ピンを指す → mux経由のアナログ読み
row / col はELCの正本に含めない。charlieplexing で便宜的に行と列の形で書くことはあるが、
それは表記の都合であって配線の事実ではない。QMKなどが要求する row / col は、出力時に割り当てる派生情報とする。
### ダイオード
接点キーはダイオードの向きを持つ。向きは端子名で表す(`a-to-b` はアノードがa側)。省略時はダイオードなし。
### LEDの識別番号
LEDの番号はELCが持つ。設計者が恣意的に決めてよいが、決めた順序はそのまま配線の指示になるため、
配線の情報として扱う。
チェーンごとに、データピンと、LEDの並びを持つ。並びの各要素はPHYのノードIDで、
per-key LEDを載せたキーか、LEDの部品ノードを指す。並びの位置がそのLEDの番号になる。
チェーンは複数持てる。
現時点で定めるのはチェーン方式(WS2812系)のみとする。ドライバICでアドレスを与える方式は未定。
### 他レイヤーへの参照
キーとLEDの参照には、PHYのノードIDをそのまま使う。ELCはIDXを参照しない。
### 持たないもの
- センサの品種、出力特性、キャリブレーション値
- フットプリント、部品の実配置、基板の層構成
- キーの物理的な位置とサイズ(PHYが持つ)
## 保存形式
```ts
type PinRef = string // "<提供者ID>.<ピン名>" | "VCC" | "GND"
type Provider =
| {
id: string,
kind: "mcu",
part: string, // 品番。ピン名の解釈に使う
}
| {
id: string,
kind: "analog-mux",
channels: number, // 提供する論理ピン数。ピン名は "0".."channels-1"
select: PinRef[], // 選択ピン。下位ビットから順
common: PinRef, // 共通ピン
enable?: PinRef,
}
type KeyWiring =
| {
key: string, // PHYのキーID
detect: "contact",
terminals: { a: PinRef, b: PinRef }, // 無極性
diode?: "a-to-b" | "b-to-a", // 省略時はダイオードなし
}
| {
key: string,
detect: "analog",
terminals: { out: PinRef, vcc: PinRef, gnd: PinRef },
}
type LEDChain = {
id: string,
data: PinRef,
order: string[] // PHYのノードID。並びの位置が番号になる
}
type ELC = {
providers: Provider[],
keys: KeyWiring[],
ledChains?: LEDChain[]
}
```
## 検討済み・非採用
- `matrix.type` による配線方式の列挙 (journal/2026-09-20-elc-pin-provider.md)
- キーが row / col を正本として持つ (journal/2026-09-20-elc-pin-provider.md)
- センサの出力特性・キャリブレーション値をELCが持つ (journal/2026-09-20-elc-scope.md)
## 未確認事項
### P-1 光学スイッチの端子構成
- 位置づけ: 本文「キーの端子」が扱えていない残り
- 現状の認識: 発光側と受光側が独立した端子を持つのか、接点と同じ2端子として扱えるのかが分からない
- 格上げ条件: 光学スイッチを使った実在のPCBの回路図を読み、端子数と配線の形を確認する
### P-2 複数マルチプレクサ構成の作り
- 位置づけ: 本文「ピンとピン提供者」が前提にしている。`select` を提供者ごとに持たせてよいかに関わる
- 現状の認識: 選択ピンを複数のmuxで共有して共通ピンだけ分ける形と、イネーブルピンで切り替える形が考えられるが、
どちらが一般的か確認していない。前者なら同じ `PinRef` が複数の提供者の `select` に現れる
- 格上げ条件: 複数muxを使った実在のキーボードの配線を確認し、共有の形を確かめる
### P-3 駆動側と検出側の役割をELCが明示的に持つ必要があるか
- 位置づけ: 本文「配線トポロジを区分として持たない」の残り
- 現状の認識: 接点マトリクスではダイオードの向きから、directでは電源レールの参照から、
どちらを駆動しどちらを検出するかが決まりそうに見えるが、全方式で導出できるか確かめていない
- 格上げ条件: 各方式について、端子の接続先とダイオードの向きだけから走査手順が一意に決まるかを確認する