# IDXレイヤー ## 概要 IDXレイヤーは、PHYのキーに「キー番号」を与える。キー番号は、キーマップがキーを指すための識別子である。 キー番号は他のどの情報からも導出できない。設計者が決める並び順そのものであり、 そのためIDXが正本として持つ。ELCのrow/colが「配線から決まるので出力時に導出する」のと、 理由が裏返しの関係にある。 IDXが持つのは、番号を振る対象のキーと、その並び順だけとする。 ## キー番号は公開インターフェース 基板を公開すると、他人が書いたキーマップがそのキー番号に依存する。 番号を振り直すと、既存のキーマップが別のキーを指す。 そのためキー番号は、出力のたびに生成し直す派生情報として扱わず、固定した正本として保存する。 ## 幾何から導出しない PHYの座標・ツリー順をキー番号に使わない。 クラスターは幾何の編集単位であって論理的な行ではない。親指キーをまとめて回転させるために クラスターへ出し入れすると、ツリー順が変わる。ツリー順が番号なら、そこでキーマップがずれる。 座標から行を判定する方法は、カラムスタッガードや曲線配列で破綻する。これはKLEの問題点として `keyboard-design-layers.md` に挙げたものと同じ性質の話である。 ## 配線から導出しない ELCのマトリクス位置をキー番号に使わない。 - マトリクスの並びとキー番号の並びは一致しない。分割キーボードでは、マトリクスは片方の半身の行を 並べてからもう片方の行を並べるが、キー番号は視覚的な行ごとに左右を交互に取るのが通例である - マトリクスには欠番がある。キー番号は実在するキーに対して連続だが、マトリクスは疎である - 基板リビジョンでピンを差し替えたときに、キー番号が動いてはならない row / col 自体がELCの正本ではなく出力時の派生情報である。派生情報から番号を導くと二重に不安定になる。 ## 出力先が要求する形 3つの処理系はいずれも「マトリクス位置の順序付きリスト」を要求し、その並びの位置をキー番号とする。 どれも人手で書かれており、他の情報から導出されていない。Firmware Generatorはこれらを出力する。 | 処理系 | キー番号を決めているもの | | --- | --- | | QMK | `LAYOUT` マクロの引数順 / `keyboard.json` の `layouts..layout[]` の配列順 | | ZMK | matrix transform の `map` の並び順 | | KMK | `coord_mapping` の並び順 | ## レイアウトバリアント PHYがレイアウトバリアントを持つ場合も、キー番号の空間は1つとする。バリアントごとにIDXを分けない。 キー番号は公開インターフェースであり、どの空間のものかを断らずに解釈できなければならない。 特定のレイアウト向けの並びは、選んだバリアントに属さないキーを落として得られる派生情報として扱う [推測:P-1]。 排他なキー同士は、同じキー番号を共有できる。`order` の要素にキーIDの配列を書くと、 その位置の番号を配列内のキーで共有する。 番号を共有できるのは、ELCで同じ接続先の組に配線されたキーに限る。 3つの処理系が要求するのはいずれも「番号の位置 → マトリクス位置」の1対1の対応表であり、 1つの番号に対応するマトリクス位置は1つしかないため。 逆に、同じ接続先の組に配線された排他キーは番号を共有しなければならない。 別々の番号を与えると、その対応表に同じマトリクス位置が2回現れ、1回のキー押下で両方の番号が反応する。 選択によって番号が詰まることはない。あるバリアントでしか実装されないキーの番号は、 別のバリアントを選んだときには使われない番号として残る。 ## 他レイヤーとの関係 IDXはPHYのキーIDだけを参照する。ELCを参照しない。 MAPはIDXを参照しない。MAPもキーの参照にPHYのキーIDを使う。 キーマップを配列として出力するとき、IDXの並び順で並べ替える。 これにより、IDXにキーを挿入して番号がずれても、MAPは書き換えずに済む。 MAPが番号を持たないキーにキーコードを割り当てていた場合、そのキーは出力に現れない。 IDXの `order` と突き合わせて検出できる。 ## 持たないもの - マトリクス座標 (row / col)。ELCの配線から出力時に割り当てる - LEDの識別番号。ELCが正本を持つ - キーコード (MAPが持つ) - キーの物理的な位置とサイズ (PHYが持つ) ## 保存形式 ```ts type IDX = { order: (string | string[])[] // PHYのキーID。並びの位置がキー番号。 // 配列は、その位置の番号を共有する排他バリアントのキー } ``` 並びの位置を番号とする形は、ELCの `LEDChain.order` と同じ形である。 欠番・重複・番号の飛びが構造として起こらない。 `order` に挙げたキーだけが番号を持つ。PHYの部品ノードと `decal` のキーは対象にならない。 ## 検討済み・非採用 - PHYのツリー順をキー番号とする (journal/2026-09-21-idx-necessity.md) - ELCのマトリクス順からキー番号を導出する (journal/2026-09-21-idx-necessity.md) - `keyId` と `index` の対を並べる形 (journal/2026-09-21-idx-necessity.md) - MAPがキー番号を参照する (journal/2026-09-21-idx-necessity.md) - レイアウトごとに別のIDXを持つ (journal/2026-09-21-multi-layout.md) ## 未確認事項 ### P-1 特定レイアウト向けの並びが既存の慣習と一致するか - 位置づけ: 本文「レイアウトバリアント」が前提にしている - 現状の認識: `order` からキーを落として得た並びが、QMKのコミュニティレイアウト(`LAYOUT_60_ansi` など)が 要求する引数順と一致するかを確認していない。一致しないなら、レイアウトごとの並びを別に持つ必要が出る - 格上げ条件: 実在のキーボードの `LAYOUT_all` とコミュニティレイアウトのマクロを読み、 前者から後者がキーの取捨だけで得られるかを確認する